COMMENT

「長年ダンサー、コレオグラファーとして在籍したポールが率いる現在のNDTからは、様々な面で今のヨーロッパのコンテンポラリーダンスの状況が見て取れると思います。
現代社会と人間の内面を見事に反映するクリスタルの作品と、マルコのオリジナリティ溢れるムーブメントと音楽性、そして今のNDTのシグネチャーと言えるポール&ソルの作品は、それぞれ全く違う身体言語を要求しますが、それを見事にこなすダンサー達と、その個性の多様性は観るものに沢山のインスピレーションを与えてくれます。」
湯浅永麻(振付家・ダンサー・元NDT1)
在籍 2004-2006 NDT2 / 2007-2015 NDT1
「ヨーロッパ・トップクラスのコンテンポラリーダンスカンパニーネザーランド・ダンス・シアター(NDT)の来日公演おめでとうございます。
20歳の時、クラシックバレエの世界から未知の世界を魅せてくれた原点であるNDT。
インスピレーションの発祥地であるイリ・キリアン氏を主とした素晴らしい振付家とダンサーとの出会いに感謝しています。
濃厚な発想としなやかな身体の発展を持つ、斬新な舞台芸術をお見逃しなく!」
渡辺レイ(振付家・ダンサー・元NDT1)
在籍 1993-1997 NDT2 / 2002-2005 NDT1
「NDTが13年振りに来日すると聞いて心が躍った。イリ・キリアンが率いたこのダンスカンパニーは現在のコンテンポラリーダンスに多大な影響を及ぼしたし、その遺伝子を受け継いだポール・ライトフットは芸術監督として、より先鋭的で魅力的な集団にしたてあげた。その成果を今回直接観ることが出来る。演劇とダンスの境界線が溶解して久しいが、今回上演される四作品はいずれも私のような演劇人こそが注目すべきものだ。舞台芸術における可能性がどの作品にも満ち溢れている。鍛え上げられた肉体とその感性を、全力をかけて目撃して欲しい。」
白井晃(演出家・KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
「13年ぶりのNDTの来日の舞台は、その空白を埋めるように精選された4作品である。最高の振付家と評されたキリアンへのリスペクトはそのままに、さらなる展開がある。クラシック、モダン、コンテンポラリーの枠をこえ、舞踊で表現することの可能性がとことん追及された舞台。映像・音楽・美術・衣装・照明を含めたアーティスティックな仕事の質の高さからは、トータルシアターとしての訴求力にも注目したい。マルコ・ゲッケを始め、才走る振付家たちとNDTがあってこそ可能になった無二の達成度がここにある。ダンス作品における「物語性」とは? 「テクニック」をどう考えるのか?そんな難問に対する4つの応答が、今この舞台に着地するのだ。」
石井達朗(舞踊評論家)
「重力を無化するダンサー達の軽やかな浮遊。幾何学的シンメトリーの圧倒的快楽。劇場で見る拡張されたバレエの現在形をとても楽しみにしています。13年ぶりの来日とのことですが、こうしたプログラムがもっと気軽に見られると、個人的には嬉しく思います。」
環ROY(ラッパー)
「NDT来日公演 / 応援歌
1990年代初頭に合流、NDTには次世代を担う存在、ダンサー/振付家/ダンサーから振付家にという輩がうじゃうじゃいた。
時代が、そして政治方針が変わっても、そこを乗り越えて未だにそんな全盛期の「場」を保ちその中で働くダンサーたちは観客を魅了し続けている。
僕の中はあの当時から変わったが、背中を押されて飛び出すこともよしとするそんな母性!
NDTという母体が柔軟に対応し「継続とは力なり」をデデンと日本に持ってきてくれる、、、。
要するに「見て背中でもどこでもいいけど押されて魅(ミー)。」
大植真太郎(振付家・ダンサー・元NDT2)
在籍 1997-1999 NDT
「NDT2にいたのは、たった3年という短い時間でしたが、私の記憶には濃密で忘れ難い瞬間ばかりです。今も心の中で通じ合っている友は、この頃出会った人々ばかり。踊りを通して生きていくことを、目で見て、肌で感じ、心を養って行けた場所でした。
いつもNDTの人々は、その場所、人、舞台にプライドを持っていました。今日本でNoismというカンパニーにいて、その事の尊さを感じます。愛のある場所は、今の時代少なくなって来ましたが、NDTは時代を超えて愛を受け継いでいっているカンパニーだと思っています。」
井関佐和子(Noism副芸術監督・舞踊家・元NDT2)
在籍 1998-2001 NDT2
「NDTは間違いなく私の五感を刺激するダンスカンパニーである。
設立から60年、いったい幾つの作品があるのだろう、、、
オランダに観に行ったNDT 2、97年の日本公演NDT 3、同じく日本で観た99年のNDT 1、
この3つのディメンションは、どのダンサーも素晴らしく、その作品は美しい書を観ているようである。
舞踊言語を舞台に置いていく中で、音楽もはっきり聞こえてきて、愛さずにはいられない。
精神と肉体の個性的なダンスは、今回も楽しみである。」
夏木マリ(Mari Natsuki Terroir/マリナツキテロワール 主宰)
「NDTの舞台は2005年に観て以来、ずっと追いかけてきました。生まれてはじめて身体から観るこちら側の情感または情緒のような繊細なものに訴えかけ、それは記憶のように、音楽のように、感情的になってしまう自分に気づき、舞台芸術の秘密に触れてしまった。
13年振りにNDTが日本で公演する。この舞台に出会い、また多くのひとの人生が変わるだろう。」
田根剛(建築家)
「数年前からNDTの事件的トレイラーに釘付けになり『今NDTが観たい!』と切望していた。キリアンが去った後も何か面白い企てが進行してるように見えたが、カンパニーの完全に先を見据えた取り組みがこんな形で開花してるのだ!驚異的な身体能力とテクニックを持ったダンサーは多様な振付家のあらゆる要求に応える。振付家含めコンテンポラリーのレパートリー展開が素晴らしい!
待ちきれなくて2017年6月オランダ、デン・ハーグまでNDTを観に行く!既にパリ・オペラ座の振付で絶賛されヨーロッパでも多くのファンを持つクリスタル・パイト作品は遥々観に来ただけの価値があり、劇場でピーピング・トムのフランクに偶然会いNDTの次の作品をやるのだと聞き、同年12月デン・ハーグまでまた観に行ってしまった。
日本で観れる今のNDTたる今回のプログラムを見逃してはいけない!これだけテイストやアプローチの違う作品を恐ろしくこなすカンパニーが他にあるだろうか?!そして、世界の名だたるダンスカンパニーで意外なほど日本人ダンサーが活躍しているのを見つけて驚くのだが、このNDTにも何人もの日本人ダンサーが在籍しているのは本当に驚異であり大きな誇りだ!」
広崎うらん(コレオグラファー・演出家・REVO主宰)
「世の中、ネザーランド・ダンス・シアターほどダンスカンパニーらしいカンパニーは、そう多くはない。そして彼らの作品には、一冊の本のような分厚い誓いを感じる。もうすでに興奮している。
待ちに待ったのだ!」
近藤良平(振付家・ダンサー・コンドルズ主宰)
「イリ・キリアンが率いるNDTと初めて協働させて頂いたのは2005年。現在でも再演が続いている「Tar and Feathers (タール羽の刑)」というサルバドール・ダリの絵画を彷彿させる足長ピアノが舞台に置かれた美しくも、ダークで衝撃的な作品でした。キリアンが去り、新世代の振付家を紹介しながら、新しいNDTへと見事に脱皮を促したポール・ライトフットも2020年の夏には監督の地位を辞任するという。時流、世代交代、国の文化政策の変化の波を受け入れ、発展していくカンパニーの姿勢はとてもオランダ的に思われる。進化し続けるNDT の“今”を日本で目撃するこの機会をどうぞお見逃しなく。」
向井山朋子(ピアニスト/アーティスト/ディレクター)
「NDTとの出会いは私の人生に衝撃を与えてくれました。冒険心を絶やすことなく仲間とダンス漬けの日々を過ごしたことで触れることのできた表現(舞台芸術)の本質は今でも活動の源となり、さまざまな振付家との経験は私をいつも拓かれた道に導いてくれます。在籍中は叶わなかった念願の来日公演。いつの時代も素晴らしい出会いが集うNDTが表現するダンスのかけがえのない瞬間と美を、この機会にぜひ味わっていただきたいです。」
小㞍健太(ダンサー・振付家・元NDT1)
在籍 2003-2005 NDT2 / 2006-2010 NDT1
「マルコ・ゲッケさんの作品、『火の鳥』と『モペイ』を踊らせて頂きました。独創性あふれる動きがつらなる振付は、とても覚えるのが大変でしたが、振りが身体に入るとマジックのように音楽とリンクしダンスしてしまうのです。
私はマルコさんとリハーサルをする為にNDTのスタジオに行きました。とても緊張していたのですが、彼はびっくりするくらい気さくな方で、幸せなリハーサルの時間を過ごせました。またそこで、朝のクラスをNDTのダンサー達と受けさせて頂く機会があり、明るく自由な雰囲気の中、本当に上手でユニークなダンサー達を見ているだけでも大興奮でした。NDTはこれまでに幾人もの気鋭の振付家を輩出しているのも納得しました。ダンサーをクリエイターに染めていく源流のようなものを感じました。コンテンポラリーダンスの今を体現している彼らの来日を心待ちにしています!」
酒井はな(‬ダンサー)
「トゥシューズを脱いで裸足で踊るとき、私のからだは柔らかく脱力し、からだの中に蠢く闇を感じます。その闇こそが、クラシックバレエとの違いなのではないかと思っています。何か、或いは誰かと関わることで闇が光となる瞬間、それはとても愛おしく幸せな瞬間です。舞台の上で、その喜びは、一瞬とも永遠とも感じられて、このまま時が止まれば良いのに、と思うのです。
NDTのダンサー達の研ぎ澄まされたからだのなかの、柔らかな、熱い、静かな、悲しい、闇を観に行くのがとても楽しみです。」
米沢唯(新国立劇場バレエ団)
「僕自身コンテンポラリーダンスというものに出会って13年。そして、13年振りの来日公演。このタイミングでNDTのダンサーを、振り付けを、生で観られる機会が訪れたことに本当に興奮しています!
沢山の衝撃と学びと気づきを映像の中から受け取っていました。なので、今回のこの来日公演を観ないという選択は僕の中で皆無です!」
大貫勇輔(ダンサー・俳優)
「カンパニーに所属したことがない私にとってNDTは世界をリードする“最強のダンス集団”であるとただただ憧れています。本質の密度を強め、多様性を受け入れながら拡張して『枠を超える!』。まさにその真骨頂である個性的な振付家たちの作品を引っ提げての来日公演が迫っています。このマジックともいえる現象をダンス界にいる私たちだけの秘密にしておくのはもったいない。劇場での芸術体験は、鑑賞者の眠っていた感覚を呼び起こし、未知の世界へといざなってくれる尊いものです。(動画ではなく)直に身体で感じなければ何も始まらないのです。」
平山素子(振付家・ダンサー・筑波大学体育系准教授)
「NDTは、私がハーグの自宅に戻ったらまず訪れる場所の一つです。鍛え抜かれた身体、挑発的なストーリー、音楽との革新的な関係性、どれを取っても私にとっては刺激でしかない場所。音楽のためのインスピレーションを、まるでエサを求める魚のように吸い込みに行くのです。NDTの作品と哲学(のようなもの?)を日本に紹介したいと常々思ってきました。是非この機会にご覧いただき、新しい価値観を身体にインストールして頂ければ嬉しいです!」
鈴木優人(音楽家)